諸君、私はコミケが好きだ。 諸君、私はコミケが好きだ。 諸君、私はコミケが大好きだ。 スタッフ参加が好きだ。 一般参加が好きだ。 チケット入場が好きだ。 コスプレが好きだ。 徹夜組が好きだ。 始発組が好きだ。 お昼からのんびり来るのが好きだ。 東京駅からタクシー相乗りが好きだ。 日の出桟橋から水上バスで上陸するのが好きだ。 東1ホールで。 東2ホールで。 東3ホールで。 東4ホールで。 東5ホールで。 東6ホールで。 西1ホールで。 西2ホールで。 西3ホールで。 西4ホールで。 この有明で行われるありとあらゆる同人活動が大好きだ。 シャッター前に集まった買い出し部隊が開催のアナウンスと共に走り出すのが好きだ。 一般参加者が走って転んで紙袋の中身をばらまいた時など心がおどる。 新刊を運んでいるサークル参加者のカートが一般参加者を轢いているのが好きだ。 奇声を上げてサークルに殺到する一般参加者をスタッフが取り押さえた時など胸がすくむような気持ちだった。 綺麗に揃えられた四列縦隊が移動するのが好きだ。 暑さで血がのぼった一般参加者がすでに完売したサークルに何度も何度も懇願してる様など感動すら覚える。 常識知らずの違反参加者を会場外に放り出される様だともうたまらない。 文句を言う一般参加者の列をスタッフの振り下ろした手の平とともに横にスライドさせ混乱したりするのも最高だ。 ブームジャンルに乗り換えた中小サークルに殺到した一般参加者により机ごと木っ端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える。 企業の限定アイテムに翻弄されるのが好きだ。 かならず欲しかったサークルの新刊が完売されグッズもなくなり、チェックリストに黒斜線を引く様などとてもとても悲しいものだ。 グループ買いの人数に押し潰されて新刊が買えなかった一般参加者が好きだ。 カメラ小僧に追い回されイメクラのようなポーズを指定されるのは屈辱の極みだ。 諸君、私はコミケを、晴海時代の様なコミケを望んでいる。 諸君。私に付き従うスタッフ戦友諸君。 君達は一体何を望んでいる? 更なる拡大を望むか? 情け容赦のない地獄のようなコミケを望むか? 財産散財の限りを尽くし三千世界の新刊を確保する。 嵐のようなコミケを望むか? 「コミケ!! コミケ!! コミケ!!」 よろしい、ならばコミケだ。 我々は満身の準備を終えて、今まさに開催を目前とするスタッフだ だが、動乱の同人界の中で30年もの間 開催し続けてきた我々に ただのコミケではもはや足りない。 大コミケを!! 一心不乱の大コミケを!! 我らはわずかに数百人、千人に満たぬスタッフにすぎない。 だが諸君は一騎当千のベテランスラッフだと私は信仰している。 ならば我らは諸君と私で総数100万と一人のコミックマーケット準備会となる。 我々を思考の隅へと追いやり、自分勝手な一般参加者を叩き起こそう。 Tシャツをつかんで引きずり止め、眼を開けさせ思い出させよう。 一般参加者にスタッフとはなにかを思い出させてやる。 一般参加者に我々の制止の声を思い出させてやる。 有明と晴海のはざまには一般参加者の常識では 思いもよらない事がある事を思い出させてやる。 数百人のスタッフのコミックマーケット準備会で 有明を燃やし尽くしてやる。 「全部署準備完了。」 「コミケット開催アナウンス開始。」 「これよりコミックマーケット60を開催します。」 「一般参加者入場開始。」 「コミックマーケット準備会米沢代表より全スタッフへ。」 「コミックマーケット60、状況を開始せよ。」 「逝くぞ諸君。」